2001.9.11の同時多発テロから15日後の話です。
こんな大事件があっても毎年取ることになっている遅めの夏期休暇を
消化するのに俺は何のためらいもない。
そりゃ、死んだ3000人以上の人たちには少し後ろめたい気もしたが・・・。
ま、関係ないわな。
九月の末に、一週間、毎年恒例のバンコク一人旅。
年一回の贅沢。
これを辞めるわけにはいかん。
目的は、タイマッサージ、タイ料理、そしてセックス。
日中はバンコク市内至る所にある古式マッサージ店にて、マッサージ三昧。
とにかく安い(日本の十分の一くらい)。気持ちいい。
あそこも元気になる。
飯は、そこらにいくらでもある屋台で激辛タイ料理。
辛いなんてもんじゃない。
痛い。
それを現地タイ人どもは涼しい顔で食うんだから、信じられん。
夜はお待ちかねゴーゴーバー。
トップレスで腰をくねらせて踊る女たちを眺めながら一本240円ほどのシンハビールをちびりちびりとやる。
何時間いようが一本しか頼まなかろうがウェイトレスに1バーツもチップをあげなかろうが、追い出されることはない。
まったく、日本人は馬鹿だから求められるままにチップやりすぎなんだよ。
日本人全体の評価を下げるから、やめろ。
いい女が見つかったら、腰の番号札をウェイトレスに告げ、交渉に入る。
だいたい1000?2000バーツ(3000円?6000円)でお持ち帰りだ。
ホテルに連れ込んで、ショートなら2時間くらい、気に入ったら朝まで一緒にいても最後にチップを少しばかり上乗せしてやれば女も喜ぶ。
この日のために旅行の二週間前から禁欲を課している。
一週間みっちりセックス三昧の生活を送るため、そしてセックスの喜びは禁欲が長いとその分大きいから。
そんなことを年に一週間だけやるのが、俺の息抜きだ。
ま、買春旅行などと言って批判されているのは分かっているが、アジアの女性はすれてない子が多いから、日本の女では癒されない俺には(単にモテナイだけだが)タイは癒しの国なんだよ。
タイ語も勉強していて、仕事を50歳くらいで引退したらタイの田舎に住もうかなと考えている。
何と言っても物価が桁違いに低いから、贅沢さえしなければ日本で蓄えた金で充分やっていける。
それはまだ先の話だが・・・。
さて、テロから15日後、俺は関空国際ターミナルにてチェックインを済ませ、セキュリティチェックを受けようとしていた。
長い。人の列が、とんでもなく長い。
毎年のことだが今年はとんでもなく一人にかける時間が長くなっている。
あんな事件があったんだから当然のことか。
乗客も長い列にうんざりはしているものの文句を言う者はいない。
後ろから観察していると、ほとんどの乗客がボディチェックに引っかかっている。
まず金属探知機を通る時に「ビーッ」と引っかかり、次に女性の警備員が携帯用の金属探知機で全身を服の上からなぞっていき、また「ピーッ」と引っかかる。
乗客は何が引っかかるのか慌てて探す。
靴も脱がされる。
ペットボトルの中身までチェック。ガソリンかなんかだと大変だから。
ようやく俺の番が来た。
あらかじめ小銭入れ・携帯・その他金属系の物はケースに入れ、いったん預ける。
なんも引っかかるもんはないな・・・。
と考えつつ、金属探知機を通った。
「ビーッ!」
あらら、やっぱり。
何が引っかかったのか。
女性警備員に誘導され、靴を脱いで台の上に載る。
「失礼します。」
無表情に一礼すると、警備員は携帯型探知機でくまなく俺の全身をなぞっていく。
手荷物検査係は公務員だと思っていたが、民間の警備員を雇っているらしい。
だが警察官のようなキリッとした紺の制服と薄めの化粧、黒髪を後ろできっちり束ね制帽を被ったさまは、やはり制服の魔法だろうか、普通の女を美しく見せる。
この警備員、顔は沖縄系の顔というか眉が濃くて情熱的な顔、制服の胸ボタンがはちきれそうな所を見ると相当の巨乳ちゃんか。
奄美の歌手、元ちとせに似ている。
巨乳の分、もっと色っぽいが。
俺はそんな不謹慎なことを考えながら彼女の検査を受けていた。
「ぴーっ!」
鳴った。
なんでやねん。
「ポケットの中身を確認させてもらってよろしいですか?」
そう言うと、丹念にボディチェックを始めた。
まず、上着の胸ポケット、そしてジーンズの後ろ、最後に前ポケット。
なんもない。
当然だ。
事前にポケットの中身はすべて出している。
「ベルトをはずしてもらってよろしいですか?」
仕方なくはずした。
再度探知機を這わせる。
「ピーッ!」
しつこい音め。
警備員は探知機を這わせる速度を落とし、どこで音が鳴るかを確認しようとしている。
片足ずつ、腰、背中、腹、胸、肩・・・。
どうやら臍から下、股間部分で音が大きくなるようだ。
「失礼します。」
言うなりジーンズの前ホックの部分を持ち、ぐいっと下げる。
おいおい、陰毛が見えるで。
そんなこともおかまいなく、股間部分に探知機をかざした。
「ピーッ!」
ひときわ大きな音が鳴った。
あれま。
「失礼します。」
色っぽい元ちとせはそういいつつジーンズの前ホックをはずしジッパーを降ろした。
(何すんねん、このアマは。)
言っておくが、ここは手荷物検査場。
当然、衆人環視にさらされている。
ここで、一時間前にさかのぼることにする。
この日の俺は少々下痢気味で、さっきも本日三回目のトイレに行ったのだが、その際パンツを降ろすのが間に合わず、便をちょっともらしてしまった。
あいにく替えのパンツは無い。
俺はできるだけ身軽な格好で旅行したいもんだからバンコクといえども小さなリュック一つだ。
下着の替えすら持っていかない。
寝る前、シャワーを浴びるついでに下着・靴下を洗い、エアコンをガンガンに効かせた室内に干しておけば朝には乾く。
すなわち、その時の俺はノーパンだった。
しかも色っぽい元ちとせにやたらと丹念なボディチェックを受けたせいで、しかもこの日までの二週間に渡る禁欲生活が影響して、ペニスがいつもよりはるかに敏感な状態にあった。
俺は勃起していた。
そんな時に元ちとせはジッパーを降ろしたのだ。
結果は明白だ。
勃起して臍側に反り上がったペニスは、俺の前にひざまずいている警備員の眼前に躍り出ることとなった。
警備員は一瞬ビクッと身体を震わせたものの、すぐに事態を収拾しにかかった。
つまりペニスをつかむと無理やり下向きに押さえつけてジッパーをあげようとしたのだ。
だが、男性なら分かっていただけると思うが、最大限の勃起ペニスを下向きにするのはかなり無理がある。
痛い。
「イタッ!」
俺は呻いた。
「す、すいません・・・。」
警備員は必死でペニスをしまおうと格闘している。
最初、根元の方を掴んでいた指はだんだん上の方へ移動する。
そうしなければ硬く反ったモノが下向きにならない。
女の指は亀頭部分にかかった。
左手の人差し指と親指で亀頭をつまんで、押し下げる。
尿道口からは、そんな指の動きに呼応したのか透明なカウパーがあふれ出している。
いったい、ここはどこなんだ?
みんな見てるっちゅうねん。
俺も、警備員も、恥ずかしさで紅潮している。
指で押すが、カウパーで滑ってうまくいかない。
女は何回もその動きを繰り返した。
「あの、自分でやりますから・・・」
俺は、たまらずに言った。
「いえ、私が悪いので・・・」
警備員は責任を感じてるのか、もはや冷静な判断はできないようだ。
指でつまんでは滑って失敗することを何回か繰り返し、ついに女は左手の指五本のすべてでペニスを握った。
右手でジーンズの前を大きく開き、左手で握ったペニスを慎重に押し下げ、しまおうとした。
多量のカウパーでローションを塗ったような状態にあるペニスは、そんな慎重な動きにも意味をなさなかった。
にゅるん。
女の柔らかな指を一本一本すり抜け、ペニスは重力に逆らった。
「うわっ!」
たまらず俺は呻いた。
とんでもない快感だ。
やばいっ。
腰椎に電気が走る。
亀頭から根元、さらには睾丸、そして腰部にとろけそうな心地よさを感じた。
「ああぁ。」
呻きながら腰を震わせた。
警備員は俺の異変を感じ取ったのか、とっさに亀頭を右手で覆う。
びゅるっ。
とろけるような気持ちよさを感じながら、俺は射精した。
(ああっ、気持ちいいー・・・)
周りの視線も気にならない。
俺はすべての鎖を解き放って、己の快楽をむさぼった。
最初の一弾は女の右手におさまった。
第二弾は指の間をすり抜け、濃い眉から睫毛を直撃した。
三弾目は最も勢いがあった。
眉間から鼻・そして唇にかけ、ほぼ一直線に白い筋を描いた。
四弾目以降は女の指に当たってどろどろと下に落ち、紺の制服を汚していった。
・・・・・。
何秒くらい経ったのだろう。
警備員は焦点の定まらない目で俺を見上げると、
「やっと、ちいさなった。」
大阪弁でつぶやく。
のろのろとしぼんだペニスをしまい、ジッパーを上げた。
「次の方、どうぞ。」