近くのスーパーでよく会う美しい女性がいた。

俺はその女性に恋をしていた。しかし、初めて会った時から彼女は他の男のものであることはわかっていた。

彼女は妊婦だったのだ。

日毎に大きくなっていく彼女の妊娠腹。

彼女のスリムな身体はそのままに、腹の丸みだけが美しくふくらんでいく。

俺はその丸みをリアルに確かめたくて、そして記憶したくて抑えられなくなった。

俺はすでに彼女が住む住宅の一室を突き止めていた。

のどかな住宅街の昼下がり、俺は彼女が自宅のドアを開けた瞬間、後ろから彼女を抱えて持ち上げた。

意外に軽い。俺は家の奥で目についたソファーに彼女を倒し、そばにあったクッションを顔にぶつけた。

「い、痛い……」

これが初めて聞いた彼女の声だった。
彼女が顔を押さえてもがいてる間に、俺はパーティーグッズの唇が描かれたマスクと、目玉が描かれたメガネをかけて変装した。

ようやく彼女は自分の前の、ケッタイな顔をした俺に気づいた。俺はソファーを蹴って、彼女をひるませると言った。

「腹ん中の子が大事だったら、俺の言う通りにしろや!」

彼女は涙目でうなずいた。俺は彼女の髪を軽く引っ張った。

「全部脱げや。……赤ちゃんを傷つけたくはないけど、お前が逆らったら、どう出るかわからんぜ!」

彼女は震えながら服を脱いだ。俺がずっと見たかった彼女が現れた。細い手と脚、くびれた腰。
そんな身体に黒ずんだ乳首のオッパイとドームのようにふくらんだ腹。
処女の可憐さと母体の逞しさとを無理矢理結びつけた彼女の姿を、俺はデジカメで続けさまに撮りはじめた。

「や、やだ……」

彼女は両手で顔を覆った。俺は彼女の出っ張ったおへその下にうごめく紋様を撫でながら話しかけた。

「誰の子なんだよ?」
「……し、主人の子です。」
「そう言いきれるの?」
「はい………」

愛されて産まれてくる子がいると思うと、その腹をけがしたくなって来る。

俺は彼女をソファーに寝かせると、ふだん吸わないタバコを一本取り出し、ヤニ取りパイプをつけて火をともした。タバコの煙に彼女の顔は嫌悪感に包まれた。

俺はパイプをはずして、タバコを彼女に手渡した。
「そんな嫌な顔するなよ。ただの小道具だよ。ほら、これを持って。」

ソファーに寝る彼女はタバコを手にした。俺はそれをさまざまな角度から撮影した。「妊婦の一服」……こんな背徳的な光景を、俺はずっと妄想に描いていた。それが今、現実になっている。彼女という美しい妊婦で……。

と、俺は思いがけないものを見た。彼女がタバコを咥えて吹かしはじめたんだ。

「なんだ、お前。妊娠したから禁煙してたのか。」

俺の言葉に耳も貸さず、彼女はタバコを味わっている。
どうやら俺が渡したタバコの香りで、何かスイッチが入ってしまったようだ。

俺はもう一本、タバコに火をともした。そして彼女の脚を拡げ、愛する赤ちゃんの出口である穴に、グイとタバコを挿しいれた。

「はあっ……アッ……!」

彼女はひさびさに、その穴に物を入れられてセックスに近い快感を得たのか、咥えタバコで身体を反らせた。

上と下の二ヵ所の「唇」からタバコの煙を立ちのぼらせてあえぐ美しい妊婦……俺は画像をやたら撮影して、そのまま彼女の前から無言で立ち去った。

本当は彼女の黒ずんだ乳首を吸ったり、赤ちゃんの出る穴を舐めたりしたかった。いや、もうその穴に俺の性器を押し込んで、赤ちゃんに俺の精液を届けてやりたかった。

だが俺は牢屋に入る危険を犯してまで、女を犯すほどの強さを持ちあわせてはいなかった。

小道具のタバコにパイプをつけたのも、唾液でDNAが検出される事への怖れからだった。

ただ、俺はひとつ彼女のところに、彼女とのひとときの証しを残した。

妊婦の彼女が咥えタバコで、ソファーであえぐ姿を、彼女のスマホで動画撮影しておいたのだ。

彼女がその動画ファイルに気づいて、再生して見た時に、彼女はそれを速攻で削除するだろうか。

それとも、思い出の「マタニティ・ポルノ」として残しておくだろうか?