不倫ってよくないことだとわかっているんだけど、人を好きになってしまうと、常識とかって考えられなくなってしまうの。


 どの視点から見ても婚姻の威力は強い。奥さんに訴えられたらまず、勝ち目はない。不倫のリスクは大きい。──そんなことはわかってる。

 ……でも、やめられないの。


 愛人と呼ばれる人はお金も受け取っているんでしょうけど、わたしはただの不倫です。正直、彼は自分の自由に出来るお金をあまり持ってない。

 でも、彼に会いたくなるんだ。彼と話がしたいし、彼とどこかへ行きたいし、彼とセックスもしたいって思うの。


 彼とのセックスは……たぶん、ノーマル。どちらかといったか彼のほうに主導権があって、わたしは彼の愛撫するまま、要求するままに、受け入れるの。

 でも、ときどき不意をついてしゃぶってあげてる。

 そうなるとシックスナインになって、彼は舌先で責めてくるの。気持ちよくなって、喘ぎはじめて、ペニスのことがおろそかになって、結局、わたしのほうが根負けしちゃう。


 ノーマルといっても、ネクタイで手首を縛られたりもするんだ。頭の上に腕を上げて、カットソーで顔を隠されて。

 いっつも目をつむって彼の愛撫を受けているくせに、隠されるとなんだか不安なんだよね。

「わざとでしょ」っていいたくなるくらい指先がそろそろと触れて、ただでさえくすぐったがりのわたしは、覚えがないくらいに躯をくねらせていたのだと思う。乳首に指が触れるとたまらなくなって、もがいた。

「暴れすぎだよ。シーツがくしゃくしゃだ」

 っていわれた。


「ううん……くすぐったい」

 彼は閉じたわたしの足を広げて、内股をなぞり、波線を書くように舌を這わせて……ゾクゾクして、クリトリスさえ触ってないのに、とろとろ蜜が溢れてきて……


 腰がうねり出すと、縛った手をそのまま上から押さえ込み、彼はのしかかるように入ってきた。

「あっ」と息をのんだら、顔が見たくなったみたい。手を押さえながら顔を覆った部分だけを露出させたの。


 彼の顔が間近にあって、恥ずかしくなって思わず顔を背けたけど、あれだけ焦らしていたくせに激しく突いてくるから


「ん……あっ。んんん……」って、口から漏れてきた。


 なのに、彼は余裕で腰をつかってくる。


「イイのか? 声がうわずってるぞ」

「イヤ……そんなこと、んんっ、いわないで……」

「だって、気持ちよさそうにしてるの、うれしいんだよ」


 もう、わたしは溶けそうに気持ちよくなった。


「ほらっ」

「ああっ……イイッ! ンッ……ダメよ……イッちゃいそう」

「いつでもイッていいんだよ。……んん? これが好きなんだろ?」


 恥骨の上で腰を滑らせて突き上げる。

「ああっ!」と悲鳴のような叫び声をあげると、そのまま激しく貫いた。膣が締まってきて摩擦が強くなると、失神しそうなほど上り詰め、わたしは果ててしまった。


 そして彼は、ネクタイで縛ったままの手にペニスを握らせ、フェラチオをさせた。わたしは両方の手で包み込み、先端を含んで吸った。


 彼はわたしの乳房を触り、ピクッと反応してしまうのを見ながら、口の中に放出させるのだ……。